改正民法(債権法)の2020年4月施行まで、あと、半年と迫りました。(2019年11月4日日本経済新聞朝刊「改正民法施行まで半年」)
今回の改正は、民法のルールのうち、債権法と言われる部分のほとんどに手が加えられているため、影響の及ぶ範囲は、民間企業や個人事業主の全てに及びます。日常取引に関わる基本ルールが変わるので、当然と言えば当然です。とくに、契約書や約款などは、必ず、見直しが必要です。私も、会社員時代、企業法務を担当していたので、この債権法改正への対応を行っていました。業務委託基本契約書など、継続的取引のための契約書ひな形の改定やサービス約款の見直しを行い、改訂しました。このために、幾冊もの解説書を読み漁り、社外セミナーにも何度も足を運びました。会社の事業内容や取引実態によっても違うとは思いますが、例えば、瑕疵担保規定の変更など、必ず点検の必要な個所があるので、まだ対応ができていない事業者は、今からでも遅くはないので、見直しを実行に移されることを強く勧めます。中小企業では、そうした契約書等の見直しを専任で担当する担当者を置いていない企業も多いと思います。このため、ついつい手当てが遅れがちになるのはやむを得ないとは思いますが、弁護士や行政書士など外部の専門家の手を借りるのは、こうした時期にとても有効です。当事務所では、お客様の事業所に出向いて、一定期間、集中的に調査・点検・修正案作りを行いますので、効率的に完了させることができます。心配を持たれている方は、是非、ご相談ください。相談無料です。
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消費税10%に
10月1日から消費税が現行8%から10%に引き上げられました。基本的には、一部の生活必需品を除いてほとんどの購入財とサービスに適用されます。消費者の立場でいえば、軽減税率8%に据え置かれる財・サービスをよく知ることが大切ですが、消費引上げを企図した様々な家計関連政策が講じられているので、これらをよく知ることが大切です。10月1日付の日経朝刊は、一面トップ記事に図入りで解説しています。主なものを上げると以下の通りです。
①軽減税率制度で食品と新聞は、8%に据え置き
②中小店舗のキャッシュレス決済での買い物で原則5%をポイント還元(~2020年6月)
③低所得世帯と子育て世帯向けに25%分のプレミアム付き商品券を販売(~2020年3月)
④低年金受給者に月5000円の支援給付金支給
⑤幼児教育・保育園無償化
⑥自動車減税(購入時取得税廃止、自動車税引き下げ、環境性能割軽減税率拡充)
⑦住宅ローン減税の控除期間延長(~13年)
⑧すまい給付金対象者を年収775万円以下に拡大、給付額を50万円に増額(~2021年12月)
このうち、②のキャッシュレス決済でのポイント還元は、対象者を限定しないので、利用できる範囲が他の手段に比べると広いと思われますが、この手段を提供できる小売店側の機器導入などの準備が間に合わない店舗が出てきていることなどが報じられています。
いずれにせよ、これからはますます賢く買い物をすることが消費者に求められていると感じるこの頃です。
以上
建設業の働き方改革~建設業法の改正
安倍政権が進める「働き方改革」は、労働基準法が改正され、長時間労働の規制が今まさに進められているところですが、建設業に関しては、他の業種よりも遅ればせながら、令和6年4月からは、時間外労働の上限規制(原則月45時間、かつ年間360時間)が施行されます。これは、強行規定ですので、36協定など労働時間に関する労使の協定をもってしても、例外は設けられないことになっています。建設事業者の方々は、今からでも準備が必要です。
これは、いわば直接規制ですが、そもそも長時間労働をもたらす原因は、そもそも建設業にはびこる無謀な工期、工賃の引き下げなど契約や建設現場の環境に起因する問題があり、ここを改善しないと絵に描いた餅に終わってしまいます。そこで、国土交通省では、こうした課題に応えるために、今年度建設業法の改正に踏み切り、本年6月5日に成立し、同月12日に交付されました。この法律は、1年6ヶ月(一部は2年)以内に施行されることになりました。それまでに必要な省令が交付されることになるので、注意が必要です。
改正の内容は、大きく分けると①建設業の働き方改革の促進②建設現場の生産性の向上③持続可能な事業環境の確保の3つのカテゴリーがあります。詳しくは、国交省のホームページにあるこちらの資料をご参照ください。中小の建設業者の方々に、とくに注意が必要なのは、建設現場の処遇改善の一環として実施が決まっている社会保険の強制加入です。早ければ、来年度中の建設業許可基準に、建設業で働く従業者の社会保険加入か必要条件として追加されることになっています。詳細は、来年度には、公表されると思いますので、注意が必要です。
契約書入門
みなさんは、契約というとどんなことを思い浮かべるでしょうか?
日常の家庭生活では契約のことを意識することはほとんどないので、お勤め人の方であれば、やはり勤め先の仕事上で目にする契約書のことが多いと思います。けれど、この契約書が何のためにあるのか、考えたことがありますか? 今回は、契約の目的や役割を考えて頂くことで契約の大切さを知って頂こうというそんな話です。
○契約とは何か?
契約とは、法律的な言い方では「意思表示の合致」といいます。お昼にラーメン屋に行って「広東麺下さい」というと、これを「申込の意思表示」といい、店員が「はい、分りました」といえば、これを「承諾の意思表示」といって、契約はこれで成立します。
お店は、お客に広東麺を提供する義務(これを債務といいます)が発生し、お客は代金を払う義務があります。言い換えれば、契約は、お互いの約束の合意ともいえます。この場合、単なる口約束でも、立派な契約です。電話でのやりとりでも法律的には要件を満たすことになります。では、契約書は何故、必要になるのでしょうか?
○契約書の役割
当たり前のことですが、単なる口約束では証拠が残りません。証拠がないと、言った、言わないの世界になってしまいます。これが友達同士のCDの貸し借り程度のことならば、お互いの信頼関係があればなんとでもなるでしょう。しかし、事が例えば企業間取引ともなると、信頼関係だけではどうにもならなくなります。
仕事が全て順調で、必ずノークレームで終わることが約束されているならば、それでもよいのかもしれません。でも、そんなことはありえない訳で、トラブルは、いつ、どのような形で発生するか、だれも予測はできません。従って、企業活動においては、契約書を事前に取り交わすということは大前提になるわけで、契約書はまさにトラブルのための”備え”です。
トラブルが起きた時には、どのように解決するのか、それをお互いに知恵を絞り合いながらあらかじめ合意しておいて、いざという時には、合意した約束通りに物事を解決しようという双方の意思を実現したものが契約書です。もし、トラブルが起きた時に契約書がなかったら、あるいは契約書があったとしても、そのトラブルに適用できる取り決めがされていなければどうなるか、想像してみて下さい。おそらく、裁判所に持ち込んで判断を仰ぐことになってしまいます。そうなると、争いを解決するために大変な労力と費用を掛ける事になってしまいます。もし、これが契約書に明記されていれば、裁判に持ち込むことなく、お互いに当事者同士で解決できます。契約書は、まさにそのためにあるのです。
○契約の知識
みなさんの勤め先での仕事は、法令に基づき全て何らかの形式で契約に基づいて行われています。契約に関わりのない仕事というものはありえない訳です。従って、取引契約書をどのように作成し、取り交わせばいいのか、どんなことに注意すればよいのか、その基本的な知識を身につけることは、とても重要です。今後、契約にまつわる知識と話題を様々な形で提供していく予定です。ときどきはお立ち寄りください。
コンプライアンスの基本
コンプライアンスの意味について考えてみたことがありますか?
最近は、コンプライアンスの言葉の意味を尋ねて答えに窮する人は少なくなったと思われますが、大抵は、「法令遵守のことだ」と思っている人が多いようです。これは、間違いではありませんが、実は十分ではありません。
ComplianceはComplyの名詞形で「従うこと」という意味になります。一体、“何に”従えばいいのでしょうか?
法令に従うというのは、あまりにも当たり前で、「法令遵守」というと法律さえ守っていれば良いというニュアンスが感じ取れるのです。
実は、“ステークホルダーからの要請”に従う、というのが正しい答えです。
ステークホルダーは直訳すると、「利害関係者」ということになりますが、このステークホルダーには、企業であれば、顧客、取引先、株主、従業員とその家族、地域社会、政府、自治体などが含まれます。ここには、会社の行動によって影響を受ける全ての人々が含まれています。単に「シェアホルダーズ(=株主)」の期待にこたえるだけでは不充分で、これらの人々(団体)からの要請に応えていくというのが、コンプライアンスの本質です。言い換えれば、コンプライアンスは、今日では、法令に従うことはもとより、社会の常識や良識(社会規範)に従い、ステークホルダーからの様々な要請に応えることを通して、企業の社会的責任を果たしてゆく、その活動の前提をなしていると幅広く理解されてきています。
それでは、コンプライアンスを実践していくには、どうすればよいのでしょうか?
「コンプライアンスを実践している」と言葉でいうのは簡単ですが、実は上記の様々なステークホルダーの期待に全て応える意思決定を行い、活動を継続するのは容易ではありません。ステークホルダー間の相反する要請のバランスをとり、うまく折り合いをつけて、最適解をいかに見つけるか、ということにいつも経営者は頭を悩まされているのです。ともすれば、株主や顧客ばかりに目が向きがちですが、私たちが地域社会において周辺の住民との共生関係にあることも忘れてはなりません。また、利益を追求するあまりに、取引先に無理な要求を突きつけて下請法や独禁法に抵触するような行動を取ることも厳に慎まなければなりません。環境を守る取組みと会社の収益の向上を図ることとは、ともすれば相反する活動と捉えがちでしたが、今や環境保護は、収益獲得の前提条件となっています。コンプライアンスの課題も、時代とともに変わりゆくものといえます。今後、継続してコンプライアンスにまつわる具体的な話題を提供していく予定です。
パワハラ関連法案成立
企業に職場でのパワハラ防止を義務付ける関連法が5月29日、参議院を通過して可決・成立しました(5月30日日経朝刊)。これまでも職場や学校などでのパワハラ行為は、不法行為に認定されると加害者への損害賠償が命じられ、公表されることによって社会的制裁を受けるなど法による規制はあったのですが、セクハラ行為とは異なり、単独での立法措置はなされては来なかったのですが、この度、ようやく本格的な法規制に一歩足を踏み出したといえます。来春にも施行される予定ですが、施行されると大企業は、ただちに法に定められたパワハラ防止対策を実施する義務を課せられます。具体的には、パワハラを抑止するためのルールを盛り込んだ就業規則などの社内規定の整備、相談窓口の設置などが義務化されます。中小企業でも2022年には義務化される予定です。ただ、パワハラ行為は、これまで法による客観的基準が定められていないため、厳しい指導との線引きが難しく、違法性の判断がしにくいという問題があったので、厚労省では、具体的な行為を明示する判断の指針を年内に作成するとしています。まだ対応が充分でないと感じられている経営者の方々は、これから態勢づくりに取り組まれる必要があります。参考のため、「厚労省が定めるパワハラの6類型」を新聞記事から転載して記します。
例 | |
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1身体的な攻撃 | たたく、殴る、蹴るなどの暴行。丸めたポスターで頭をたたく |
2精神的な攻撃 | 同僚の目の前で叱責する。他の職員を宛先に含めてメールで罵倒する。必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る。 |
3人間関係からの切り離し | 一人だけ別室に席を移す。強制的に自宅待機を命じる。送別会に出席させない。 |
4過大な要求 | 新人で仕事のやり方もわからないのに、他の人の仕事まで押しつけ、同僚は皆先に帰る。 |
5過小な要求 | 運転手なのに営業所の草むしりだけを命じる。事務職なのに倉庫業務だけを命じる。 |
6個の侵害 | 交際相手について執拗に問う。妻に対する悪口を言う。 |
今後、このような行為を職場で見かけるのに放置していたら、今まで以上に責任を問われる可能性が高くなります。前向きに取り組む必要があります。
個人情報に利用停止権
個人情報は誰のものなのか、日常生活において、普段はあまり真剣に考えることはなくても、自分の情報が不当に利用されていることに対しては、敏感に反応する人が多くなったと感じています。昔は、セールスの電話がかかってきたりしても、迷惑に感じることがあっても、それが自分の個人情報が不当に利用されているとは考えつかなかったものです。しかし、今や自分の個人情報は、自分でコントロールできるようにすべきだという考え方が一般的になりつつあります。EU欧州圏では、法制度として固まりつつありますが、日本でも、個人情報保護法を改正して強化していこうという動きが始まっています。4月3日付日経朝刊1面「個人情報に利用停止権 企業の乱用防止、本人に」の記事は、そうした動きを伝える記事です。個人情報の保護に関する法改正の動向は、市民生活に深く関わる大事な知識なので、継続してウォッチしていきます。
契約書点検にもAI?
本年1月14日付日経朝刊の法務欄「契約書点検にもAI」の記事には驚かされました。法務担当を務めていた会社員時代には、契約書のチェックにコンピューターを利用するというのは、困難だろうと考えていたからです。理由はいくつもありますが、凡そ機械的な作業にはなじまない仕事と考えていたことが根底にあります。契約書の妥当性は、単にルールが明確であるかどうかや契約文言に瑕疵がないかとかいった機械的にチェックできる範囲のものではないからです。契約書に盛り込まれた約束事には、当然に契約当事者の立場によって異なる利害が反映されています。例えば、極端な話でいえば、明らかに無理難題を押し付ける約束事がなされていたとしても、当事者間の力関係によっては、飲まざるを得ない場合もあるわけで、そうした事情をコンピューターが自動的に判断するなどあり得ないと思っていたからです。しかし、ちょっと視点を変えていえば、機械的に判定できる部分は、ある程度、AIで漏れなく自動判定できるツールがあれば、それを活用することによって、契約書チェックは、相当程度効率化することができるかもしれないということです。今後、目を離せない分野だと思います。
認知症とお金
昨年10月15日付け日経朝刊の「迫真」の記事に、夫を7年前に亡くした実家の母親が最近認知症を発症し、近くに住む息子さんは、心配になり成年後継制度の利用を申請したところ、裁判所は「補助」の類型を適用した事例が紹介されていました。本来、補助の場合、本人にも一定の判断能力があるとされているので、単独で預金の引き出しをすることは可能です。ところが、制度に詳しくない銀行の行員が引出しを断ってしまった事例が使用解されていました。結局、補助人の息子さんが代理で引き出して、母親に現金を手渡しせざるを得なくなり、負担を掛けるだけでなく、断られた母親が精神的に追い詰められてしまうこともあったようです。こうしたケースでは、裁判所が少し工夫して本人の行為能力を証明する「補助人カード」のようなものを発行して本人に交付して肌身離さず利用できるようにしてあげれば、解決するかもしれません。銀行員にも研修の充実が望まれます。
定時総会出席
千葉県行政書士会の定時総会に出席しました。
開業届提出
最寄りの税務署に開業届を提出してきました。確定申告は、これまで何度か行ってきましたので、不安はありませんが、今年からは青色申告を選択しましたので、開業届は必須です。とくに何の問題もなく受理されました。
開業しました
令和の時代の初日、令和元年5月1日に行政書士事務所を開業しました。これからは、社会人生活で培った知識や経験を活かし、地域社会に貢献できる行政書士として、再スタートです。
どうかよろしくお願いいたします。