●相続法改正で作成しやすくなりました
遺言書を書き残す人が増えていると言われています。2017年の家庭裁判所での検認件数は、17,394件と、10年前に比べると4千件ほど増えているそうです。(令和元年8月4日付朝日新聞朝刊8面記事より)令和元年から施行された改正相続法においては、自筆証書遺言に関する法改正が実施され、以前よりも、作成しやすくなったので、今後、遺言を残そうと考える人は、ますます増えるものと思われます。
今回の相続法改正のポイントは、大きく二つあります。
一つ目は、従来、法的に有効な自筆証書遺言を残すためには、遺言書全文の自筆による手書きが求められていました。これは、例えば「全遺産をXXXに相続させる」というような簡潔な内容であれば、問題はなかったのですが、相続人それぞれに遺産を分割して相続させたいような遺言を残すためには、遺産の明細を全て手書きで正確に書き残す必要があり、遺産の種類が多いとかなりの負担となるので、敬遠される原因となっていました。そこで、今回の改正では、この遺産の明細に当たる部分、すなわち財産目録は、別紙にして、必ずしも手書きでなくとも良いようになり、例えば、パソコンのワープロソフトなどで、作成して遺言書本文に添付して作成することが認められるようになったのです。この改正については、2019年の1月から施行されています。
二つ目は、作成した自筆証書遺言は、通常は、遺言者の貴重品入れや金庫、机の引き出しなどにしまわれていることが多いかと思いますが、紛失したり、当事者によって内密に破棄されてしまうことも多かったのではないかと言われています。そこで、こうしたリスクを避けるために、2020年7月から、作成した自筆証書遺言の保管制度が始まることになりました。具体的には、作成した自筆証書遺言を全国の法務局に持参してチェックを受けた上で預ける制度がスタートします。原則として費用はかかりません。これによって紛失・破棄・改ざんなどのリスクを回避できるだけではなく、形式不備がないかどうかも事前にチェックされ、家裁での検認手続きも不要になります。また、遺言者の死亡後は、あらかじめ届け出た相続人への通知もされるとされているので、遺言書の存在が確実に伝わる仕組みが整うことにもなります。詳細は今後、発表されることになっていますが、利用する人が増えるのは間違いなさそうです。
当事務所では、この自筆証書遺言の作成をお手伝いいたします。以下に具体的な手順をご説明します。
●自筆証書遺言作成フロー