契約書点検にもAI?
本年1月14日付日経朝刊の法務欄「契約書点検にもAI」の記事には驚かされました。法務担当を務めていた会社員時代には、契約書のチェックにコンピューターを利用するというのは、困難だろうと考えていたからです。理由はいくつもありますが、凡そ機械的な作業にはなじまない仕事と考えていたことが根底にあります。契約書の妥当性は、単にルールが明確であるかどうかや契約文言に瑕疵がないかとかいった機械的にチェックできる範囲のものではないからです。契約書に盛り込まれた約束事には、当然に契約当事者の立場によって異なる利害が反映されています。例えば、極端な話でいえば、明らかに無理難題を押し付ける約束事がなされていたとしても、当事者間の力関係によっては、飲まざるを得ない場合もあるわけで、そうした事情をコンピューターが自動的に判断するなどあり得ないと思っていたからです。しかし、ちょっと視点を変えていえば、機械的に判定できる部分は、ある程度、AIで漏れなく自動判定できるツールがあれば、それを活用することによって、契約書チェックは、相当程度効率化することができるかもしれないということです。今後、目を離せない分野だと思います。