パワハラ関連法案成立
企業に職場でのパワハラ防止を義務付ける関連法が5月29日、参議院を通過して可決・成立しました(5月30日日経朝刊)。これまでも職場や学校などでのパワハラ行為は、不法行為に認定されると加害者への損害賠償が命じられ、公表されることによって社会的制裁を受けるなど法による規制はあったのですが、セクハラ行為とは異なり、単独での立法措置はなされては来なかったのですが、この度、ようやく本格的な法規制に一歩足を踏み出したといえます。来春にも施行される予定ですが、施行されると大企業は、ただちに法に定められたパワハラ防止対策を実施する義務を課せられます。具体的には、パワハラを抑止するためのルールを盛り込んだ就業規則などの社内規定の整備、相談窓口の設置などが義務化されます。中小企業でも2022年には義務化される予定です。ただ、パワハラ行為は、これまで法による客観的基準が定められていないため、厳しい指導との線引きが難しく、違法性の判断がしにくいという問題があったので、厚労省では、具体的な行為を明示する判断の指針を年内に作成するとしています。まだ対応が充分でないと感じられている経営者の方々は、これから態勢づくりに取り組まれる必要があります。参考のため、「厚労省が定めるパワハラの6類型」を新聞記事から転載して記します。
例 | |
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1身体的な攻撃 | たたく、殴る、蹴るなどの暴行。丸めたポスターで頭をたたく |
2精神的な攻撃 | 同僚の目の前で叱責する。他の職員を宛先に含めてメールで罵倒する。必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る。 |
3人間関係からの切り離し | 一人だけ別室に席を移す。強制的に自宅待機を命じる。送別会に出席させない。 |
4過大な要求 | 新人で仕事のやり方もわからないのに、他の人の仕事まで押しつけ、同僚は皆先に帰る。 |
5過小な要求 | 運転手なのに営業所の草むしりだけを命じる。事務職なのに倉庫業務だけを命じる。 |
6個の侵害 | 交際相手について執拗に問う。妻に対する悪口を言う。 |
今後、このような行為を職場で見かけるのに放置していたら、今まで以上に責任を問われる可能性が高くなります。前向きに取り組む必要があります。