認知症とお金
昨年10月15日付け日経朝刊の「迫真」の記事に、夫を7年前に亡くした実家の母親が最近認知症を発症し、近くに住む息子さんは、心配になり成年後継制度の利用を申請したところ、裁判所は「補助」の類型を適用した事例が紹介されていました。本来、補助の場合、本人にも一定の判断能力があるとされているので、単独で預金の引き出しをすることは可能です。ところが、制度に詳しくない銀行の行員が引出しを断ってしまった事例が使用解されていました。結局、補助人の息子さんが代理で引き出して、母親に現金を手渡しせざるを得なくなり、負担を掛けるだけでなく、断られた母親が精神的に追い詰められてしまうこともあったようです。こうしたケースでは、裁判所が少し工夫して本人の行為能力を証明する「補助人カード」のようなものを発行して本人に交付して肌身離さず利用できるようにしてあげれば、解決するかもしれません。銀行員にも研修の充実が望まれます。